1. カシーダについて

1. HACCP(ハサップ、ハセップ)とは何?

米国から世界へ。安全性基準の大きな流れ

HACCP(Hazard Analysis: Critical Control Points)とはそのことば通り、「危害分析重要管理点」と訳されます。
「HA」は、ハザード・アナリシスで、「危害分析」
「CCP」は、クリティカル・コントロール・ポイントで、「重要管理点」
食品製造の各工程において危害が発生する可能性のある箇所を分析・確認し、重大な危害発生を事前に防止するために対策を講じる安全管理手法です。

管理点を厳格にモニタリングし、管理することで危害発生の可能性を低減する事が可能になります。

近年脚光をあびているHACCPはその歴史は意外に古く、1960年代に米・ピルスベリ社が宇宙開発計画において宇宙飛行士用に最高に安全で最高の品質をもつ食品を製造するために採用したのが最初です。最新のGFSI承認スキーム等においてもHACCPは内包されています。

2. HACCPと潤滑油

安全性を望む消費者と食品安全規制の変化

HACCPでの危害分析では、危害は以下の3つに分類されています。

1. 生物学的危害
食中毒菌・伝染病原菌・寄生虫・カビなど
2. 物理物的危害
危険異物(ガラス片など)・不快異物(毛髪など)
3. 化学的危害
自然毒(フグ毒など)・農薬・指定外添加物・重金属・潤滑剤など

今こそ、より安全な食品機械用潤滑剤を!

食品製造現場の機械設備で使用される潤滑剤は、化学的危害の要因となり得ます。製品(つまり食品や容器など)に接触・混入するリスクがあると判断される場合、その潤滑箇所はCCPとして管理すべきであり、「もしも。。。」「万が一。。。」に備え、混入リスクを低減する事も必要ですが、食品グレード潤滑剤の使用により健康被害等の軽減を図ることが大切です。

3. 潤滑剤のHACCP対策

潤滑剤に関して、HACCPへ適合させるためには、どのような対策を実施すれば良いのでしょうか。可能な対策として以下の 3つの方法が考えられます。

1) 潤滑剤そのものを使用しない

漏洩や飛散により潤滑剤が製品に混入する可能性がある箇所は、機器装置の仕様変更により無潤滑システムに変更します。
潤滑剤を必要としない特殊な材質を使用したベアリング等を採用したり、様々な工夫が必要となります。この方法は潤滑剤の汚染を根本から避ける最も有効な方法ですが、大きなデメリットも存在します。どんな材質でも無潤滑の場合、寿命が短くなり、結果的に装置のトラブルや摩耗が多くなり、メンテナンスコストが増加する傾向があります。また、それらの摩耗粉の混入リスクについても注意が必要です。

2) 潤滑剤を混入させない対策をする

潤滑剤を使用するが、製品に混入しないような構造に装置の仕様を変更します。
具体的には、潤滑箇所と製品の間に仕切板を設けたり、ケーシングで被うなど、積極的な混入防止対策を講じるもの。但し、この方法は潤滑剤を使用している限り100%完全ではなく、対策構造物やオイルシールが破損したり、不慮の事故により潤滑剤が混入してしまうことは避けられないため、適切なモニタリングが必要となります。また、油圧ポンプやオイルタンクが機械装置の下部にある場合でも、配管ホースが製品上部に存在するケースも多々ありますが、見落とされがちです。

3)安全性の高い潤滑剤を使用する

NSF H1登録製品に代表される食品グレード潤滑剤を使用します。NSF H1登録製品であれば、FDAにより安全性の確認がなされた物質のみでつくられていますので、HACCPにおける化学的危害要因から除外されることが可能になります。
しかしながら、NSF H1は「偶発的に食品に触れる可能性がある箇所で使用できる潤滑剤」です。非食品化合物(Nomfood Compounds)ですから積極的に摂食して良いものではありません。2)にある「混入させない」対策をしたうえで使用する事が大切です。